ここ数年、「集客施策の費用対効果が落ちてきた」という声をあちこちで耳にするようになりました。インターネットの普及による情報過多が要因とされていますが、とは言え、集客はあらゆるビジネスの根幹。お客様を集めないことには何も始まりません。潤沢な広告予算を持たない企業にとっては、その効率性も重要です。
この記事では、費用対効果に優れた集客対策を実施するためのノウハウを紹介しています。どれも小手先でできるような簡単なものではありませんが、その分、大きな効果が期待できます。現在、集客の費用対効果に悩んでいる方は、ぜひお読みください。
このページの目次
費用対効果の良い集客手法は存在しない
一般に費用対効果が良いと言われているのは、次のような集客手法です。
リスティング広告
Google、Yahoo!などの検索結果画面に表示される広告です。少額で始められ、商品に対するニーズ・関心が高いターゲットに対して出稿できることからから、費用対効果に優れた広告の代表格とされてきました。しかし近年は利用企業の増加にともない、広告費(クリック単価)は高騰傾向。成果を出すためには専門的な知識が必要になってきています。
Facebook広告
Facebookユーザーに対して出稿できる広告です。特長はターゲティングの精度。年齢・性別・居住エリアはもちろんのこと、職業や趣味、興味・関心などでもセグメントが可能で、「カスタマーオーディエンス」という、自社の顧客リストと属性の近いユーザーを選んで配信できる機能も装備されています。リーチ層は限られますが、顧客獲得単価はリスティング広告よりも低い傾向にあります。
コンテンツSEO
ターゲットが求める情報(コンテンツ)をホームページ上のブログから発信することで、GoogleやYahoo!などの検索結果に上位表示させ、集客を図る手法です。検索数の多いキーワードでトップ表示させることができれば、月間数十万以上のアクセスも見込めます。広告費はかかりませんし、コンテンツ制作や上位表示に必要な施策を内製化できればランニングコストも不要。ただし成果を上げるには、専門的知識と技術、そして最短でも数カ月~1年程度の期間が必要です。
アフィリエイト広告
簡単に説明すると、自社の商品・サービスを他のサイトやブログで紹介してもらう手法です。費用は成果報酬制、しかも企業側で金額を設定できるため、費用対効果だけをみれば一番優れています(月数万円のランニングコストは必要です)。ただし、成果報酬額が低いとモチベーションの高い紹介者が集まらない、相性の良い商品が限られている、といったデメリットも存在します。一般にB to Bサービスや、販売エリアが限定されている商品(不動産など)はマッチしません。
顧客の紹介
数こそ広告には及びませんが、質の良い顧客の集客が期待できる手法です。とは言え、待っているだけで紹介してもらえることはまずないので、企業側からのアプローチは必須です。店舗や通販(EC)では、専用のチラシを作ったり、紹介する人とされる人の両方にオファーを付けた「紹介キャンペーン」を実施したりしています。
…と、以上、4つの手法を紹介してきましたが、注意してもらいたいことがあります。それは、これらの手法を使っただけで費用対効果が向上するわけではないということです。
業界や商品との相性もありますし、SEOならブログや各種施策の質、広告の場合は、クリエイティブやターゲティングを含む配信設定などによって、大きく反響が異なります。手法はあくまで道具。重要なのは、それらを使いこなして、自社にとって最も費用対効果に優れた集客パターンを確立することです。
自社にとって費用対効果の高い集客パターンを確立する方法
ここでは、そのためのヒントとなる方法を3つ紹介します。
(1)ABテストと検証・改善で広告の精度を上げる
広告の費用対効果を向上させるためには、クリエイティブと配信設定両方の精度を上げる必要があります。そのための有効な施策がABテストです。
例えばリスティング広告とFacebook広告のクリエイティブテストなら、下のようなパターンが考えられます。
配信設定のテストの場合は、ターゲティング(年齢・性別・居住エリアなど)や配信時間などが対象になります。
ABテストを成功させるコツは、テストする要素を1つに絞ること(反響へのインパクトが大きい要素から始めるのがベスト)と、有意な結果が出るまで行うことです。「有意」の基準については諸説ありますが、勝ち広告のコンバージョンが最低でも50件以上、かつコンバージョン率に倍以上の差がついた時点、といったあたりが一般的です。
そしてテストを実施したら、必ず効果検証を行い改善につなげること。この地道な繰り返しこそが、費用対効果の高い広告パターンを確立する一番の近道です。
手法の組み合わせで費用を最小限に抑える
複数の手法をうまく組み合わせることで、全体の費用対効果を向上させる方法もあります。
例えばローカルビジネスなど、費用は最小限に抑えつつ、少数でも確実に集客したいという方におすすめなのが、下のようなリスティング広告とコンテンツSEOを組み合わせた集客手法です。
最初は多少費用対効果が悪くても、コストをかけてリスティング広告で集客。それと並行してブログを継続的に追加し、検索順位を上げていきます。そしてブログが上位表示され、自然検索からアクセスが集まるようになれば、徐々にリスティング広告の出稿を減らし、最終的にはSEOのみによる無料集客を目指すという戦略です。リスティングの即効性とSEOのコストパフォーマンスの良さ、それぞれのメリットを掛け合わせた施策と言えるでしょう。
下のグラフは、リスティング広告費とSEOによる集客数の推移を示したものです。
実際に成功させるためには、リスティング広告のテクニックとSEOの知識が必要ですが、ホームページ開設当初など、集客に力を入れたいフェーズに最適な方法です。
リピートの仕組みを構築する
費用対効果を測る指標はROIやROASを始めいくつかありますが、広告でよく使われるのがCPA(Cost Per Acquisition)です。顧客獲得単価を示す指標で、「広告費÷コンバージョン件数」の計算式で算出します。
このCPA、確かに重要な指標ではあるのですが、あまりにも「下げよう下げよう」とこだわり過ぎると、どんどん広告規模が縮小し、結果、全体の売上が減少してしまうという弊害が起こりえます。こうした事態を防ぐためにCPAの許容ラインを上げる方法の1つが、顧客に商品・サービスをリピートしてもらえる仕組みを構築することです。
例えば下の例のように、リピートの仕組みがないと集客のたびに広告費が必要になり、毎回利益を確保するためにどうしても目標CPAを下げざるをえなくなります(下のモデルはあくまで説明のために単純化しており、実際は人件費その他で利益はさらに少なくなります)。
一方、リピートの仕組みが構築されている場合、最初のCPAが少々高くなって赤字化しても、後々収益化していくことができます。
ちなみに、リピートの仕組みに必要な施策としては、次のようなものがあります。
- リピートしてもらいやすい価格、売り方(初回のみ割引/会員は〇〇%OFFなど)の設定
- DMや会報誌、SNS、メルマガなどを活用したリピート促進のアプローチ
このようなリピートを基盤としたビジネスモデルは、美容院・エステなどの店舗型サービスや、化粧品・サプリメントの単品通販ではお馴染みのものです。また、同一商品・サービスのリピートだけでなく、アパレルECや食品通販のように、季節に合わせた商品をレコメンドして継続購入を促す方法もあります。
もちろん商材によってはリピート化が難しいものもあります。しかし、サブスクリプション(継続課金)ビジネスが隆盛を極めつつあり、今や歯ブラシから自転車までリピートされる時代です。費用対効果向上のために、自社商品でも実施できないか、一度考えてみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
以上、費用対効果に優れた集客対策を実施するためのノウハウを紹介してきました。
一般的には集客の費用対効果を一気に向上させる特効薬のような手法は存在しません。しかし、地道にテストを重ねたり、活用法を工夫したり、商品の売り方を変えてみたりすることで、徐々に自社に最適な集客パターンを確立することができます。(もちろん、コストや労力を気にしなければ一気に集客する方法はあります)
今回は集客手法に絞って説明しましたが、マーケティング全体の費用対効果を向上するためには、同時にランディングページ(LP)やホームページのコンバージョン率を向上させる施策も必要です。それらのノウハウについては、こちらの記事で紹介していますので参考にしてください。
また、自社だけでは費用対効果の向上が難しいと悩んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちにもご相談ください。下の「お見積もり」ボタンをクリックしていただくと、弊社電話番号とお問い合わせフォームを掲載したページに移動します。どんな些細なご質問でも結構です。ご連絡を心よりお待ちしております。